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はじめに
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この日を境に、私達は「被災者」と呼ばれるようになりました。
連綿と続いていた生活や店がこんなにも突然失われるとは、想像したこともありませんでした。あれから3年の月日が過ぎ、多くのご支援に支えられてそれぞれの店が再開したり、再開に向かって進んでおります。
この月日の中で、私達は様々な経験をして参りました。
後になってわかることも沢山ありました。
自分達の経験をまとめることで、今後「もしかしたらあるかもしれない災害時」、同業の皆様に少しでも役に立てばと思い、この冊子を作りました。
子供の頃聞かされた話、人からの伝聞・テレビ・ラジオ等、災害時には情報がもっとも大きな助けとなります。
この冊子がそうした情報のひとつになるよう、皆様のお手元にお届けしたいと思います。
全国の皆様へ心から感謝申し上げます。
私達はこれからまた、更なる復興の歩みを続けてまいります。
はじめに
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この日を境に、私達は「被災者」と呼ばれるようになりました。
連綿と続いていた生活や店がこんなにも突然失われるとは、想像したこともありませんでした。あれから3年の月日が過ぎ、多くのご支援に支えられてそれぞれの店が再開したり、再開に向かって進んでおります。
この月日の中で、私達は様々な経験をして参りました。
後になってわかることも沢山ありました。
自分達の経験をまとめることで、今後「もしかしたらあるかもしれない災害時」、同業の皆様に少しでも役に立てばと思い、この冊子を作りました。
子供の頃聞かされた話、人からの伝聞・テレビ・ラジオ等、災害時には情報がもっとも大きな助けとなります。
この冊子がそうした情報のひとつになるよう、皆様のお手元にお届けしたいと思います。
全国の皆様へ心から感謝申し上げます。
私達はこれからまた、更なる復興の歩みを続けてまいります。
地震・津波対応の心得
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大津波警報・津波警報、避難指示が出された時は、安全確保のため閉店します。
東日本大震災から2年半が経過した平成25年10月。石巻芽生会は地域のまちづくり団体であるコンパクトシティいしのまき・街なか創生協議会、2名の防災専門家とともに、料理店の防災対策について話し合いを始めた。
東日本大震災で最大の被害を受けた石巻の中心市街地には、芽生会の会員店を含む多数の飲食店があり、被災を乗り越え再開を果たした店が集客装置となって、街の復興をけん引している。街の復興整備にあたっては、「災害に強い街づくり」が大きな方針として掲げられ、堤防の建設計画が進められていたが、完成までには数年を要する。そんな中でも、半年に1回程度の頻度で大きな余震が発生し、津波注意報・警報が発令される状況が続いていたことから、多くのお客様をお迎えする料理店にとって、「防災」は大きな課題であった。
震災の教訓を自らの災害対策に活かすために、また、復旧・復興を支援してくださった全国の皆様にも石巻が学んだことをお伝えしたいという思いから、震災のふり返りとそこからの学びをまとめる作業がスタートした。
大震災以降、4回にわたり最大震度5弱の大きな余震が発生し、うち2回は津波警報が発令された。地震が起こる時間は様々で、その時々でお店の営業継続、お客様・従業員・家族の避難について、店主は判断を迫られた。大人数のお客様をお迎えすることが多い事業所として、他店はどうしているのだろうか、ガイドラインのようなものがあればいいのではないか…など意見が交わされた。一方で、東日本大震災を経験した当事者として、「命」に関わるガイドラインやルールを定めることの難しさも感じた。
ガイドラインではなく「心得」を示す。
3月11日の自らの行動をふり返り、また再び起こり得る災害を想定した図上演習を行った上で、災害対応策を定めるガイドラインではなく、判断のもとになる基本の考え方を「心得」としてまとめることとなった。災害が発生した緊急時には、ガイドラインを読む時間はない。ルールに沿った行動より、状況に応じた柔軟な判断が求められることから、指針となる「心得」を店に、さらにはお客様にも浸透させることにより、最善の災害対応がとれる環境づくりを目指し、話し合いを重ねた。半年間で計5回の検討会や会員店を会場とした『夜の避難訓練』を行い、平成25年3月、「地震・津波対応の心得」がまとまった。
お客様へのお願い
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東日本大震災
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石巻の被害概要
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安全・安心へのこころづかい
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店からの避難
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夜の避難訓練
3.11をベースにした訓練のシミュレーション
◆実施日:2014年2月24日(月)
◆場 所:八幡家
◆参加者数:46名(メディア含む)
店舗における災害対応の手順を確認するため、組合員の店舗を使って、お客様(一般協力者)、メディア、スタッフを含む総勢46名で「夜の避難訓練」を実施。集合時刻は店の営業終了後、夜の9時。震度6強の大地震が発生するという想定で、①事業主と従業員の災害対応、②店内の安全確保、③避難場所への誘導を試みた。店舗側は、事業主・スタッフ共に、店の災害対応ルールに基づき迅速かつ適切に行動し、地震発生から約25分で避難所まで避難することができた。また、ケガ人(火傷)の応急処置、子どもや外国人、高齢者への対応・避難補助など、災害時に起こりうるお客様対応についても、事業主とスタッフが柔軟に対応したことが確認できた。
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状況確認
フロア担当スタッフが各テーブルを回り状況を確認。訓練では火傷1名、落下物による負傷者1名、腰が抜けて動けない高齢者を発見。女将に報告し、火傷をしたお客様には応急処置を実施。
21:33/お客様の状況確認、ケガの応急処置
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店外退避誘導
停電で真っ暗な店内。女将からの退避指示を受け、数カ所の非常灯、スタッフの懐中電灯を頼りに入口まで順次誘導。自力で歩けない負傷者はスタッフが付き添い、2階から1階へ。下駄箱付近も混乱なく移動。
21:38/お客様の店外退避完了
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安全確認、避難開始
グループ毎に店を出て、出入口前の駐車場で安全を確認。スタッフも店内確認後、緊急グッズを手に店外へ。各グループにスタッフ1名が同行し、近くの避難所(公館館)まで避難。店外に出た途端、指示を聞かず勝手に避難した参加者も。
21:40/最初のグループ確認後、避難所へ
21:45/店内確認後、スタッフ退避完了
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避難場所への誘導
基本は「徒歩」で避難。ケガ人とぎっくり腰の高齢者は自力で避難所まで歩ける状況ではなかったことから、特別に店の車両を出して避難所へ。
21:43/ケガ人・高齢者(車)が避難所へ
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避難所到着!
21:47/最初のグループが避難所到着
21:50/スタッフが最後に避難所到着
石巻芽生会「料理店の震災談義」より引用
制作発行/ | 全国芽生会連合会 石巻芽生会 宮城県料理業生活衛生同業組合 石巻市組合員 コンパクトシティいしのまき・街なか創生協議会 |
初版印刷/ | 平成26年10月発行 |
監 修/ | 阪本真由美(名古屋大学減災連携研究センター) |
協 力/ |
一般社団法人みらいサポート石巻 |